cinemania 映画の記録

cinemania’s diary

2020-01-01から1年間の記事一覧

『Mank/マンク』は、いかに歴史的事実を改変したのか――マンキーウィッツの英雄化とオーソン・ウェルズの矮小化

デヴィッド・フィンチャー監督の『Mank/マンク』は、実在の脚本家ハーマン・マンキーウィッツの伝記映画である。物語は、彼が代表作である『市民ケーン』の脚本を執筆していた1940年3月から5月にかけての出来事が中心となり、そこに1930年代のさまざまなエピ…

「児童ポルノ」か「社会批判」か――Netflix映画『キューティーズ!』が遭遇したボイコットをめぐって

映画『キューティーズ!』の二つのアートワーク『キューティーズ!』というささやかなフランス映画が、大きな騒動の真っ直中にある。監督のマイモウナ・ドゥクレは、セネガル系フランス人で、本作は彼女の長編映画デビュー作にあたる。 映画の主人公は、11歳の…

「ウディ・アレンは無実だ」英ガーディアン誌インタビュー取材~映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』公開記念

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』撮影現場より ウディ・アレンが20歳だった頃、作家のダニー・サイモンからコメディに関するいくつかのルールを教わったが、その中でも最も重要なことは「外部の意見は無意味だから、常に自分の判断を信じろ」ということ…

ジェームズ・キャメロンのパーソナルエッセイ「映画の過去、現在、そして未来へ」

映画監督になる夢を抱く前から、私は映画を愛していました。子供の頃、私は1950年代に作られた古いB級SF映画を全て暗記していました。クリスマスに手に入れた小さなオーディオカセット・レコーダーに録音しては聞き返して、頭の中でも再生していました。そう…

小野寺系による『旅する黒澤明 槙田寿文ポスター・コレクションより』をめぐる雑文がタイトル詐欺だった話

本当は別の記事を出す予定だったのですが、うっかり酷い文章を目にしてしまい朝から気分も体調も悪い。タイトルは「世界のアーティストは黒澤映画をどう表現した? 海外版ポスターから浮かび上がる、黒澤明の新たな姿」と、非常に立派なのだが、読者は、そこ…

小野寺系はなぜ映画評論家と呼ぶに値しないのか――アメコミ、アート、アニメ、そして映画

今回も前置きは抜きにして始めるが、小野寺系なる人の映画評なるものは本当に酷い。正直ここまで駄目だとは思わなかった。例えば、『ニンジャ・バットマン』に関する雑文である。本人はTwitterで「原作コミックやノーラン版映画との比較を通し、内包するテー…

マイケル・ムーアはクリント・イーストウッドの『アメリカン・スナイパー』を、どのように称賛したか。

どうやら、マイケル・ムーア監督がクリント・イーストウッド監督の『アメリカン・スナイパー』を徹底的に否定しているとでも言わんばかりのデマを流し続けている方がいるらしいので、公開当時のインタビューから、該当する箇所を抜粋して紹介しておこう。(…

小野寺系による当ブログをめぐるデマに応答しておきます。

小野寺系という方が、ご自分のツイッターで当ブログの過去記事*1に関してデマを流していたので、主に事実関係についての訂正をごく簡単にしておきます。小野寺系 on Twitter: "そもそも『インビクタス』をいま絶賛することでメディアが得をすることなんてな…

クリント・イーストウッドは日本で高く評価されすぎているという説は本当なのか――荻野洋一『リチャード・ジュエル』論の問題点をめぐって

荻野洋一のコラム「『リチャード・ジュエル』が誘う終わりのない問い イーストウッドの“悪意”を受け考えるべきこと」を読んだ。批判の内容そのものにも、あまり感心しなかったのであるが、それはおいおい語るとして、それ以前に困ったのは、冒頭の以下のよう…

キネマ旬報『リチャード・ジュエル』特集の町山広美の文章が酷かった

キネマ旬報2020年2月上旬号の『リチャード・ジュエル』特集に掲載された町山広美の文章が酷かった。映画の内容とは関係なく、イーストウッドはトランプ支持だと非難して、彼の作品を支持する人たちまでも揶揄する。最後も唐突に「戦争が始まろうとしている」…

Netflixが 2020年に配信するオリジナル映画 28作品

ALL THE BRIGHT PLACES1.『グレイス-消えゆく幸せ-』A FALL FROM GRACE タイラー・ペリー製作・監督によるサスペンス。クリスタル・フォックスが夫を殺した容疑で逮捕された女性を演じる。共演はフィリシア・ラシャド、ブレシャ・ウェッブ。1月17日配信。2…